生活保護の不正受給は、全体の0.3〜0.4%程度 しかありません。
テレビやネットでは不正受給を全面に押し出す報道をよく見かけますが、実際には 99%以上の人が正しく制度を利用している のが現実です。
金額ベースの不正受給率
2021年の厚生労働省の資料をもとにした試算では、
その年度の生活保護費(国庫負担分)は約3.8兆円でした。
そのうち「不正受給」とされた金額はおよそ110億円です。
割合にすると、0.29% ほどしかありません。
ほかの年度でも、不正受給額が生活保護費全体に占める割合は、0.3〜0.4%台 で推移しているとされています。
件数ベースの不正受給率
件数で見ても、不正受給は「ごく一部」です。
被保護世帯の総数に対して、不正受給件数が占める割合は、
各種の統計や弁護士会の解説などで おおむね1〜2%程度 と説明されています。
金額で見ても、件数で見ても、99%近くの世帯は決められたルールの範囲内で普通に生活保護を使っている、ということです。
意図的な不正受給はさらに少ない
ここでいう「不正受給」というのは、すべてが意図的な不正であるわけではありません。
不正受給の内訳を見ると、「稼働収入の申告漏れ」や「収入の過少申告」といったケースが、かなりの割合を占めています。
たとえば、
- 週に数日だけのバイト収入を、どこまで申告すべきか理解していなかったケース
- 行政側の説明や調査が十分でなく、後から「本当は口座や資産がありましたね」とまとめて不正扱いされたケース
こういった「制度が複雑でミスをしやすいケース」も、統計上はすべて「不正受給」として一括りにされています。
わざと資産を隠したり、身分を偽って受給したりする、本当に悪質な不正受給は、その中のさらに一部にすぎません。
メディアはなぜ不正ばかり報じるのか
それでも、テレビやネットで話題にされるのは、たいてい派手な不正受給のニュースばかりです。
- ある芸能人の親族が生活保護を受けていたことを、大々的に叩き続けたワイドショー
- 生活保護の全体像ではなく、「1件の悪質ケース」だけを何度も繰り返し流す報道
こうした報じ方をすると、視聴者には「生活保護=ズルをしている人」というイメージだけが強く残ります。
その結果、本来は制度の対象なのに、こう考えてしまう人が増えます。
「もし申請したら、周りから『不正受給だ』と疑われるんじゃないか」
「テレビで叩かれている“あの人たち”と同じ場所に、自分も並べられてしまうんじゃないか」
不正受給を許すべき、という話ではありません。
ただ、「0.3%の問題」を前面に出し続けることで、残り 99%以上 の人たちの声をかき消してしまっている、という事実は、一度立ち止まって考える必要があります。
私も実際に、NHKが生活保護の不正受給を取り上げている番組を見たことがあります。
たった1件の不正受給のケースを全面に出して、「こんなひどい例がある」と強調する内容でした。
それを見た人が、「生活保護を正しく使いたいのに、使いにくい」と感じてしまうのは、ある意味で当然だと思います。
ここまで読んでくれたあなたへ
この記事にたどり着いているということは、あなたも
「不正受給って叩かれてるし、自分が生活保護を取ったら後ろ指さされるんじゃないか」
と不安に感じているかもしれません。
しかし、統計で見るかぎり、生活保護を利用している人の ほとんど は、
単に「今の収入では、生きていくのが難しいから」使っているだけの、ごく普通の人たちです。
あなたが今日まで我慢してきたこと、
働きたくても働けない事情、
身体や心の状態、家族の事情──それらを全部無視して、
「生活保護=不正受給」「=ズルして楽している人」
と一括りにしてしまう報道のほうがおかしい、と私は思います。
不正受給をしないのは当たり前です。
そのうえで、「必要な人が正当に制度を使うこと」は、健康保険や年金と同じ、まっとうな権利の行使です。
だから、「叩かれるのが怖いから」という理由だけで、
あなたの命と生活を守るための最後の手段を手放すのは、非常にもったいないことだと思います。
報道や世間の声に惑わされず、あなたが必要だと感じるなら、堂々と生活保護を申請しに行ってかまいません。
あなたの生活を守るために用意された制度ですから、遠慮せずに使ってください。