全部捨てる必要はありません。
パソコンとスマホは1台ずつなら原則問題ありません。 車は原則NGですが、仕事・通院・地域事情次第で認められます。
処分するかどうかはどうやって決まるのか
処分しろと言われる対象は「換金性が高いのに生活に必須とは言えないもの」を指します。
厚労省の審議会資料では、資産の扱いについて次のように整理されています。
自動車については、原則として保有を容認しない
ただし、障害者や山間へき地に居住する者等が通勤・通院・通学のため必要とする場合は、保有を容認する
それ以外の生活用品については、当該地域の普及率が70%を超えるものについては、地域住民との均衡を勘案の上、原則として保有を容認する
ここでいう「生活用品」の代表例としては、エアコンなどの家電やパソコン、スマホのようなものも含めて考えられています。
つまり、生活保護を取った瞬間にすべてが没収されるのではなく、「その人にとって生活必需品かどうか」が重要なわけです。
パソコン・スマホは処分しなくていいのか
処分しなくていいです。
パソコンやスマホは、原則として1人1台程度なら認められる運用になっています。 生活に必須ではなさそうなのに認められる理由は、「生活に必要かどうかは時代によって変わるから」です。
情報検索はパソコンやスマホがないとできないのは当たり前で、 求人検索や病院の予約といった情報の取得に必ず必要になります。
そもそも所有物を全部取り上げることは生活保護の目的ではなく、 「最低限度の生活を保障し、自立を助長する」ことが本当の目的になります。 ですから、厚労省の生活保護に関する資料や、弁護士・支援団体の解説でも、スマホやパソコンは「普及している生活用品」として、原則禁止ではないと位置づけられています。
ただし、なんでもアリではありません。
- 2台目以降のパソコンやスマホは生活には不要な資産とされやすく、売却指導されることが多い
- 高価なパソコン(何十万円もするゲーミングPCなど)は高額資産と判断されるリスクがある
したがって、スマホ1台 + 普通のPC1台なら問題ないと考えてもらえればいいかと思います。
車は処分しなくていいのか
自動車は基本的に資産として扱われるので、売却指導されることが多いです。
ただし、例外があるということです。
- 通勤に車が必須(公共交通がほぼなくて、車がないと仕事を続けることができない/就職が決まらない)
- 通院・通所に車が必要(障害や病気があって、バスや電車の利用が難しい)
- 地域的に、買い物や生活に必要な移動が車なしでは成り立たない
- 障害者世帯などで、福祉車両としての利用が生活維持に直結している
つまり、「生活や自立を支えるためにどうしても必要な場合には、自動車の保有を容認する」という運用になっています。
近年は障害者世帯などでは、自動車利用の緩和を進める動きも出ています。 通院や日常生活の移動をしやすくして、自立した生活を後押ししようという動きがあるので、良い傾向だと思います。
ここまで読んでくれたあなたへ
生活保護を受けたら、資産を全部持っていかれるというのは完全に誤解です。 繰り返しになりますが、生活保護の目的は「最低限度の生活を保障し、自立を助長すること」です。
生活に必要なものは持っていていいし、むしろ持っていたほうが自立の助けになると考えられています。
申請の際に、「スマホも車も全部捨てて」と言われても冷静に、「生活に必要なものは持っていていいと聞いています」と伝えてみてください。 もしそれでも処分を強要されるようなら、録音しておいて、弁護士会の生活保護相談や支援団体に相談してみてください。