やることはこれだけ。
- 「援助を期待できる親族はいません」とはっきり言う
- 理由を聞かれても「家庭の事情があり、お話できません」とだけ答える
- それでも扶養照会を強行しようとしたら、「援助を期待できない親族には照会を控える決まりがありますよね」と確認する
なぜこれでいいのか
生活保護は「困っている本人を国が助ける制度」であって、「親族の財布を当てにする制度」ではないからです。 そして、親族の扶養は「余裕があって本当に助けられるなら使う」程度の位置づけにすぎません。
その考え方は、法律や民法からも読み取れます。
生活保護法第1条(目的)
この法律は、生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。
生活保護法第4条第2項
民法に定める扶養義務者の扶養および他の法律に定める扶助は、すべてこの法律による保護に優先して行われるものとする。
民法の扶養義務は、親や兄弟姉妹については「自分の生活を犠牲にしない範囲で最低限を助ければよい義務(生活扶助義務)」である。
つまり、親やきょうだいの財布は「余力があれば先に見る」だけで、
期待できないなら国が直接、最低限度の生活を保障しなければなりません。
親族について一番よく知っているのはあなた自身ですから、あなたが
「援助を期待できる親族はいません」
と伝えたときには、「親族に余裕はない/関係的に無理だから、国が直接助ける番だ」と考えてもらってかまわない、ということです。
援助が期待できない理由を詳しく話す必要はあるのか
ありません。 少なくとも、細かい家庭の事情をすべて説明する義務はありません。
厚生労働省の2021年の通知では、
DV・虐待・絶縁・長年の音信不通など、扶養義務の履行が期待できない親族には扶養照会を行わないこと
申請者が扶養照会を望まない場合は、その理由を丁寧に聞き取り、個々の事情に応じて判断すること
が自治体に求められています。
ここで求められているのは、「役所側が事情を聞いて判断すること」であって、
申請者がトラウマや家族関係をすべて詳しく説明する義務まではありません。
なので、窓口では
「援助を期待できる親族はいません」
「家庭の事情があり、詳しくはお話しできません」
と伝えるだけで十分です。
これだけでも、「この人に無理な扶養照会をすべきではない」という判断材料としては足ります。
私は根回しした
自分が生活保護を申請したときは、この仕組みをちゃんとは理解していませんでした。 家族との関係は悪くなかったので、先に親族へ連絡しました。
「役所から生活保護の扶養照会の手紙が行くかもしれないけど、『援助できません』とだけ書いて返しておいて」
とだけ伝え、実際にそのとおり回答してもらいました。 その結果、扶養照会はされましたが、それが理由で保護が落ちることはなく受給が決定しました。
今振り返ると、「援助を期待できる親族はいません」と窓口ではっきり伝えるだけでも、十分だったと思います。 少なくとも、「親族に頭を下げてからでないと生活保護を取ってはいけない」なんて決まりは、どこにもありませんので。
ここまで読んでくれたあなたへ
扶養照会の話を聞くだけで、「そこまでして申請する自分は情けない」と感じる人も多いと思います。 親やきょうだいに心配をかけたくない、もうこれ以上迷惑をかけたくない──そう思うのは、むしろ真面目に生きてきた証拠です。
でも、ここまで記事を探して読んでいる時点で、あなたはもう限界ギリギリのところまで我慢してきたはずです。 そのうえで、「やっぱり働くべきだろうか」「家族に知られてまで取るのは甘えだろうか」と悩んでいるところかと思います。
そんな状態のあなたが、制度を使うのは「甘え」ではなく、本来用意されている正しい権利の使い方です。 親族よりも、まずはあなた自身の命と生活を守ることを優先して良いと、私は本気で思います。
だから扶養照会が怖くて足が止まっているなら、
「援助を期待できる親族はいません」
「家庭の事情があり、詳しくはお話しできません」
とだけ伝えに行ってみてください。
心配であれば録音しながらやってみてください。 証拠を残しておけば、扶養照会を強制されたときやこっそり照会されたときのトラブル解決に役立ちます。 録音と書類を持って、弁護士会の生活保護相談や支援団体に相談すれば「どこがおかしいか」「どう止められるか」を一緒に考えてくれます。